†  Keeping Tarantulas  †
Vr.3

† 樹上性成体編 †

 さてさてお待ちかね、樹上性タランチュラの飼育編です。該当する連中は、ピンクトートリニダッドシェブロンインディアンオーナメンタル辺りで御座いますよ。アジア産のポエキロや、南米産のアンティルピンクトー等、見た目にも度ハデ極まる種もあり、人気が高いグループでございますな。

 さてさて、樹上性種飼育のコツですが、高さ・湿度・通気。この3つ。この3つがバッチリなら、特に難しいことは無いですね

 飼育ケージですが、上の地中性種のところに出している縦長のプラケ、あれ通気性にも優れていて大型種に最適ですよ。見つけたら、オイルショック中のオバサンが、トイレットペーパーを買い漁るが如く、一気にまとめ買いしてしまいましょう。あれに、2cm程度床材を敷いて湿らせておきます。そこにコルクバーク辺りを立てかけておけば、ハイ完成

 気の荒い種を飼う時は、コルクバークで上手くシェルター的なものを作ってやると、その隙間に入り込み落ち着き、突然ダーーーっと走り出したりしなくなります。あとは念の為、地面に水飲み場も設置しておきましょうね。これで、ほぼ完璧で御座いますよ。

 他にはパスタケースを使った方法とか色々有りますが、まぁ細かいことはメンドウなので、スタンダードに飼う方法と言う事で話しを強引に進めますよぉ。

 セッティングが完了して、温度を合わせますれば、ここで早くもクモをいれます。南米産樹上性種辺りは、自分のしっくり来る位置に巣を作って落ち着くものもあれば、脱皮のときまで巣を作らない強気の個体も見られます。アジア産の大型種はヤンチャな種が多いので、糸を出して巣を作るなんて〜のは、何か特別なイベント(脱皮や産卵等)の時だけでありまして、普段はフラリフラリとケージ壁面を徘徊して回るか、コルクバークの隙間に身を潜めているかしてるのですよ。

 給餌です。普通にケージ内にコオロギを放り込んでおけば良いです。いつの間にか食べているので、無くなったらまた入れておく。この繰り返しで良いかと思いますよ。ある程度コルクバークとか入れてある場合、その隙間にコオロギが入り込んだりして、クモがエサを食べれない事態も考えられるので、数日置きにコオロギ5匹程放り込んでおいてくださいな。樹上性種は、壁面に張りつけるので、コオロギの攻撃を受けにくいという、飼育において都合の良い事もあるので、放り込んで数日放置と言う技も使えるんですねぇ。エサを食べなくなり、腹部も大きくなってきたら、それは例の如く脱皮の前なので、速やかにコオロギを撤収しましょうね。

 コオロギ以外のエサとしては、アマガエルやハウスゲッコーの類が使えます。あまりエサを取らない個体でも、カエルを見ると突然燃えるようなもものあるので、試して見ると良いかもです。まぁ使う人はいないでしょうが、トッケイなんかをあげると逆に食われると思うので、ラコダク系など含め大型ゲッコーをエサに使うのはやめましょう。高いしね。まぁ、クレステッドゲッコーとか、増えて増えてどうしようもないと言うお方は、ベビーをエサにするというのはありかもですが、エサにするぐらいなら、僕に下さい。

 水の与え方ですが、壁面にスプレーして水滴を作り、それを飲ませるのが手っ取り早いです。水容器の水も置いておきますが、はっきり言ってあまり使わないので、スプレー作戦で行ってください。ただし、スプレーを忘れないことが重要で御座いますよ。南米産の樹上種はとくに水切れに弱い印象なので、2日に一度はケージ全体的にスプレーして、湿度を高めつつ水滴を作ってあげましょうね。

 ケージの掃除ですが、樹上性種を、とりわけ壁面に付く糞が目立つので、気になる人は定期的に拭いてあげれば良いんじゃないでしょうか。巣にエサのカスが付着していたりするので、それも取ってあげましょう。それぐらいで、殆ど掃除らしいことはしなくて良い感じです。まぁ、脱皮毎にクモを取り出して大掃除してもいいですね。この手のクモは、驚くと上へダッシュしてくることもあるので、注意してくださいませ。あらかじめ上の方に小型のプラケで待ち構えておき、後ろからつついて、そこに誘導すればよいですな。カップかぶせも有効ですが、アジア産の大型種なんかは、脚がタッパーからはみ出すので、追い込みで行った方が良いかもですね。ま、凶悪種相手でも、あまり怖がらずにサラッとまいりましょう。

 樹上性種は、レイアウト次第でかなりナウイ感じで飼育できると思いますよ。いろいろ試して見てくださいな。でも通気・湿度・高さは重要です。高さですが、無ければ無いで飼えない事もないらしいですが、脱皮不全とか起こる可能性も出てくるので、最低でもその個体のレッグスパン以上の高さを用意してあげてくださいな。プラケを強引に縦置きにして使うという技も可能です。その場合、床材をどう入れるかがポイントになってきますな。その辺まで書くのはメンドイので、もう自分で考えなされ。

 樹上性種の購入のポイントは、ちゃんとケージの壁面にくっついているかです。調子が悪かったり、死ぬ直前になると、地面に降りてだれているのがこのグループです。アヴィキュラリア属等は、巣を作っているか否かも健康状態を見極めるポイントになるかもしれませんので、参考にして見てください。地面に居ても、ケージをトントンと刺激して見ると、クモが慌てて上の方へ逃げるような個体もOKだと思いますよ。

ってなわけで、樹上性はこれにて終了。


† 半樹上性成体編 †

 生活の場を断定しないなんて、どう言うこっちゃ!と言う感じですが、地中に巣を作る事もあるし、樹にあいた洞に潜んでいる事もあるし、民家にいることもあるし、どこでも良い感じなんだもの、しょうがない。逆に言いますれば、順応性が高く飼いやすいと言う事になるわけ。まぁ、厳密に言うと、わりと樹上性傾向が高いなぁとか言うものもありますが、その辺りは種や個体ごとの塩梅を見て決めるがよろし。

 この半樹上性に該当する種は、マレーシアアースタイガーウサンバラオレンジバブーントーゴスターバーストバブーンなど、一部のアースタイガーとバブーンスパイダーが当てはまります。あー、あとねぇ、南米産のスケルトンタランチュラの類を入れても良いですな。あまり種類は多くないですが、美しく魅力溢れる種も多いので、タランチュラマニアであれば、誰しもが通る道かもしれませんぞ。

 ケージですが、ここでもプラケを用いるのが良いでしょう。プラケに4〜5cm程度の床材を入れて水入れをいれた後クモを投入。もちろん、多湿を好むものを飼育する場合は、床材を湿らせて置いた方が良いと言うのは、皆様ご周知の通りで御座います。

 しかし、本グループには、結構乾燥に強いものも多いのですな。特にアフリカ産の種はかなりの乾燥にも耐えるので、湿度にはあまり気を使う必要は無いかと思いますよ。極端な話、乾燥でもOKな種を飼う場合、床材無しでも飼育することが出来る。勝手に巣を作って、自分の棲みやすいようにそこを改造してしまうからである。その場合、水は定期的に巣にスプレーしてあげれば良い。クモにおけるベアタンクと言う感じでございましょうかねぇ。

 大型種であれば、45cm程度の爬虫類用の飼育ケージ等を用いまして、絢爛豪華に飼育しても面白いでしょう。中にはコルクバークや流木を多数配置しておくと、クモが気に入った場所をシェルターとしてり巣を作ったりと、樹上・地面・地中問わず活動するので大変ユニークで面白いわけで御座います。

 クモをケージへ入れると、健康な個体であれば、その日のうちから巣を作り始めるというヤツもおりますぞ。わずか数日で、地上からケージ上方へと拡大した巨大で美しい真っ白な巣を作り上げるわけでございます。大型個体だと、地上50cm以上にも達するような大型の巣を作るそうです。大型ケージを用い、これらの種を飼育するとかなり面白いと思いますぞ。

 このグループは、巣に潜って出てこないようなイメージがあるかもしれませんが、意外なほど活動的でありまして、夜になると巣穴からヒョコヒョコと出てくる様子も見られるのでございますよ。興味深いグループではありませぬか。

 右の写真は、こう言う風にケージ内の様子を見ることが難しくなりますよと言う例でございます。何が居るのかわかったモンじゃぁ御座いません。でも、巣の中の構造が複雑で面白いですね。公園のアスレチックを作る際の参考にすると良いでしょう。木やら金属でアスレチックを造りますれば、公園内を、やたらと走り回っている子供がぶつかると大変ですね。しかしだ、柔軟性に富むクモの糸なら安全だもの。

 エサを与える方法は、ケージ内を所狭しと糸だらけにしてしまう種の場合、まぁ巣に引っ掛けておけば良いです。ほうって置けば、そのうち食べに来ます。樹上性傾向が見られる種には、樹上性種同様で良く、ケージ内に放り込んでおけば勝手に食べてます。地中に巣をこしらえた個体には、地中性種のノリで行えば良いわけ。とまぁ、前の奴らの応用でいけるので、そんなに手間は掛かりません。ってなわけで、端折りますよ。

 水の与えからとかその辺りの事も、各グループを参考にして頂いて問題ありません。ここも端折ってしまいますよ。

 本グループで注意すべき点は、一様に荒い。しかも動きがやたら早いので厄介極まりない。アジア産のものは非常に大型になるものもあるが、アフリカのバブーン辺りでは、小〜中型種が多い傾向があるので、慣れてしまえば、クモのサイズ的に見ますと、カップを被せての移動も比較的容易かと思いますよ。

 ケージの掃除をするときは、巣に付着したエサのカスを取り除く手度で、あまりする事もないわけ。大掃除のときには、容赦無く巣を破壊してしまいましょう。ピンセットで綿飴を作るかのごとく、ワサワサ壊して行きます。そうするとクモが物凄い剣幕で怒り狂って出てきますので、冷静に対処し、さっさと捕獲してしまいましょう。あとはケージを水洗いして、新しい床材をセットして終わりです。徘徊性の種に比べると少し厄介なので、気持ちを引き締めて掛かるのが良いかもです。

 このグループの飼育を初挑戦する人は、ちょっと飼いにくい印象をもたれるかもしれませんが、実は非常に強健な種類も揃っています。大々的に巣を広げて行くものも多くいるので「糸出してこそクモ!」なーんて思ってる方には、実に打ってつけで御座いますね。

 購入のポイントは、地中性種の項を参考にして下さいませ。とにかく糸を出して、巣を作っているものがベストです。

 この際ですから、寄生虫についても簡単に触れておきます。飼育しているタランチュラがなんらかの原因で状態を崩すと、寄生虫が爆発的に猛威を振るって、タランチュラを死に至らしめることがあります。それは、ハエの幼虫であったり、ダニであったり、なんかワケ解らん怪しい蟲であったり、腹部に腫れ物があったり、クモを襲う蜂であったり・・・そんな怪しげな兆候が見られた場合、即座にそのクモを飼育部屋から隔離しましょうね。他のクモに感染されたら非常に厄介で御座いましょう。なにかビニールでケージ覆うとか、そのケージだけ別の部屋に移動させるとか、とにかく素早く対処してくださいな。今のところ治療法と言うのは残念ながら無さげです。そのクモの奇跡的な回復を待つか、死を待つしか無いっぽいです。非常に残念ですが、ここは他のクモへの感染を防ぐ努力をしたほうが良いでしょう。床材を清潔に保つとかしましょう。

 CB個体でこのような状況になることは極めて稀です。なぜなら、移動(輸送)と言うストレスが少なく、状態が落ちにくいところが大きいでしょう。たとえ寄生虫がいたとしても、クモの状態が悪くない場合、寄生虫が猛威を振るうことは少ないからで御座います。たいてい普通に飼えます。状態が落ちたときに一気にたたみ掛けてくるのが寄生虫、恐るべし!タランチュラ専門に狩る寄生蜂と言うのもおりますが、まぁ、さすがに寄生蜂が進入することは無いかと思います。

 ちなみに、このグループとアースタイガー系、バブーンタランチュラ系に、何故か知らんが寄生虫が原因ではないかと思われる死亡例が比較的多くみられます、だからここに書いておいたわけですなぁ。ここに書いた意味、チョットは有るわけ



† 幼体編 †


Aphonopelma anax baby
 タランチュラの幼体は、しばしば試験管やデリカップで、販売されている。こんなん育てられるのか?と思う方も要るかもしれませんが、そこはクモ、割と丈夫なヤツも多く、初めて買って育てても、たいてい上手に育てられるモノなんで御座いますよ。小さくたって、恐るるに足らず!

 さて、ベビーから飼う利点を言うと、まず成長過程が楽しめると言うことがあげられますな。成長過程に見せる大きな色彩変化等楽しめます。またベビーから飼えば愛着も沸くでしょう。アジア産のアースタイガーやバブーンタランチュラの類は、WCの個体の飼育が難しい場合があるので御座いますよ。そいう飼育が厄介な種でも、CBから飼えば丈夫なもやしっ子に育ちます。あと、成体を購入するよりもカナリお安い!という点も見逃せないポイントでしょう。この差が歴然なのはブラジリアンサーモン。ベビーはとにかく激安ですが、ADはいきなり高い。冗談じゃなく10倍以上違う場合がありますよ。

 で、一応短所も挙げておきますと、雌雄が解らんと言うこと。タランチュラコレクターの多くは、メスだけ欲しいと言うかたが多いかと思います。寿命や大きさに起因しますが、まぁその気持ちは解ります。とくに後になって探せない事必至のsp種とか、レア種なんかを購入しオスが出た日にゃ、もう泣くしかございません。

 あとは、ちゃんと育つか心配という点と、育てるのがメンドウ(こう言う人は最初から成体飼いなさいよぉ)等が上げられますかねぇ。まぁ、安いと言う点が、かなりポイント高いのではないかと思います。

 さて、いよいよ飼育。ベビーの場合、あまり樹上とか地中とかそう言う概念で語ってもしょうがない感じなので、とりあえずまとめて解説していきつつ、要所要所で細かく設定していきますかねぇ。まぁ、読んで頂けますれば、色々わかると思いますよ。

 さて、先にも書きましたが、ベビーは大抵の場合デリカップか試験管で売られていることが多いです。まれにフィルムケースに入れられていたりしますが、殆どが試験管かデリカップと思います。

 右の写真で言うと、透明なヤツと白いカップが通称デリカップ、スポンジで蓋されているものが試験管、白い蓋のやつは海外から輸入すると小さい蟲は殆どの場合コレに入れられてくる、もはや蟲のベビー用としか思えないピルボトル等と呼ばれるもの。そして手前のはフィルムケースですね。どれが良くて悪いのかと言うのは、全て一長一短ありまして、まずは試験管の辺りから。

 試験管は他のものに比べ圧倒的にカッコイイ!と個人的に思う。まぁ見栄えは一番良いと思いますが、ぶっちゃけそれだけな感じですかな。積み上げられないのと、通気性が極めて悪い、底面積が広くない、スポンジの蓋を食い破って仔グモが脱走する恐れが有る等々「The☆短所王」という感じのベビー飼育容器ですが、簡単に蓋を開けることが出来るスポンジ蓋と言う特性を生かし、日々まめな管理することを前提にコレたくさん温室に並べておけば、なにやら怪しげなマッドサイエンティスト風温室が完成し自己満足に浸れること請け合いでございます。飼育者本人も白衣を着たりして飼育に望めば雰囲気が出るかもです。さらにその白衣に血糊でも滴らせておけば完璧でしょう。友人知人の数が見る見る減っていうでしょうな。

 とにかくマメな管理が必要となりますので、ずぼらな人は避けましょう。蒸れ死にさせたり、逆に干からびさせたり、カビにやられたり、コオロギに齧られたりとあまり良いこと無いです。ツリースパイダーには良さそうジャンと思いきや、通気性が極めて悪いので、Avi属とかはもうマズイ。少し乾燥気味で飼ってあげないと、あっというまに蒸れたりしやがります。クモの事を考えるのら、避けた方が無難ですね。

 潜り系の種を試験管で飼うと、かなりの確立でスポンジを齧って穴を開けて脱走を試みます。スポンジの半分ぐらいまで掘り進められたら、スポンジの上下を逆さまにして使えばよいですが、危険なので新しい蓋と変えましょう。と、不都合なポイントばかり上げてきましたが、体長が1cm以下の幼体を飼育する場合、クモにエサが行き届きやすいなどの利点もあります。マメに管理できる人であれば、そうとう良い飼育容器になると思います。小バエも進入できませんしね。

 次ぎはデリカップ。これはオススメでございます。ベビーから年少個体、いわゆるjuvenileの間はこれで殆どの種を飼育可能です。各サイズ揃っており、なにぶんお安い。通気に関しては、針で穴を開ける事も可能、5つぐらい積み上げても問題無し、底面積もそこそこありますし、高さがあるものもある。大きさもある程度揃っています。欠点は、劣化しやすいことと、見た目が安っぽいこと。

 白い壁面タイプのは、割と丈夫な作りになっているので、透明なタイプに比べ長期使用可能です。短所は中が観察しにくい事ぐらいですかね。

 基本的に劣化しやすいのですが、そこは安さでカバー。特に蓋の部分が劣化しやすいので、脱走されないよう注意してくださいよ。また、体長3cmを超えた種はプラケースへ移さないと、空気孔に牙を突っ込んだり、蓋の端に牙を突っ込んでガシガシ孔を広げて行き脱走されます。某ショップで、主の居なくなったデリカップを見たことがありますからね。

 他の物ですが、メンドイので省略。別に使わなくって良いです。簡単な説明しておくと、フィルムケースは、写真屋へいくと、無料で分けてくれるので、タランチュラを繁殖させて小分けする際大量に必要なとき便利です。小さいので場所を取りません。蓋は丈夫ですが、開けにくいので管理が面倒になってきます。

 海外から買ったりすると付いてくる白い蓋のピルボトルと思われる物ですが、まぁ捨てずに取っておけば何かの役に立つかもです。一応透明なので、中身の観察はしやすいです。フィルムケースより1レベル高い入れ物ですね。蓋がペラペラなので、ここに穴を開けて通気孔としている場合が多いです。さてこの辺りでケージの話しは終わり。

 タランチュラの幼体は、どの種も乾燥と蒸れに弱いです。乾燥した環境を好む種であっても、多少湿度を高めて飼育した方が無難な感じです。

 床材はいろんな意味でミズゴケが便利です。これに軽く水を含ませて、クモを放り込んでおきます。

 反対に、やめた方が良いのが、得に試験管飼育の際発生しやすい感じなのですが、オアシスを下に敷いてバーミキュライト。潜り系の種は、何故か消滅する事もございます。通称クリス現象と呼ばれるのですが(謎)、つまりはオアシスの下に潜り込んでいるときに誤って給水すると、溺死したり圧死したりと大変な騒ぎで「アレ?いないなぁ・・・」と思って掘り起こして見たときには既に遅く、姿形が無いときすらある...まぁ、単に管理の問題でしょうが、そういうこともあるので、クモの居場所が発見しやすい意味もこめミズゴケを入れておきましょう。

 何故クリス現象と呼ばれているかについては、メンドクサイのと、あまりに内輪ネタなため、いっこも触れないかんね。

 他には、細かめのバーミキュライトだけでも良いですし、昆虫マットとかでも良いです。でも粒の大きなバーミキュライトは、クモのベビーの色と似ており発見しにくくなる恐れも有ります。それも管理の問題ですので、どうにでもなりますぞ。試験管で飼育する場合は、得にミズゴケをオススメします。

 ミズゴケをあまり硬くつめずに、フワッと入れておきます。それを湿らせておく感じでございますな。潜って巣を張る種は、適当に糸を出して棲みつきますし、潜らない種はその辺りをフラフラ歩き回り、樹上性種の場合は保湿材や巣を作るための足場としても多いに活躍される事が予想されるわけ。

 ミズゴケの使用で注意することは、薬品処理されているミズゴケも中にはあるので、使用前に、一晩ぐらい水につけて、ミズゴケを洗うようにしましょうね。最悪、クモが死ぬかも知れませんよぉ。

 エサについてですが、普通コオロギの小さいモノを与えます。大きさ的にはクモの体長より少し小さなサイズのモノが良いでしょうな。産まれたばかりのタランチュラ(通称Spiderling)には孵化したての小さなピンヘッドコオロギを使うのも良いです。少し高価なエサですが、カイコの幼虫もなかなか良いようです。コオロギと違って草食なんで、クモが襲われる心配がないんですねぇ。素晴らしいこった。

 与え方はクモの目の前に落とすだけ。通常飛びついてきますが、エサの反撃が心配なので、コオロギを使う場合頭をつぶして弱らせてから投入するのが無難ですよ。

 エサを与える間隔は、巨大な成体にしたい場合、とにかく食べるだけ与える事をオススメします。別に早急に大きくしたくない場合でも、クモがエサを要求している間は、3日置き程度のペースで与えた方が良いです。

 ベビーにはエサを1匹ずつ与えるようにし、1匹食べ終わってまだ食べそうならもう1匹追加して入れてあげると言う作業を1日中繰り返してください(無理か:笑)。

 とにかく食べるだけ与えて太らせて、一気に育て上げる方法をパワーフィーディングと言うのですけど。この技、一般的に成長が極めて遅い種には使えない模様ですので、種類や個体を選んで行いましょう。南米産の大型種や、ツリースパイダーの類には使えます。

 エサをたくさん食べさせる技として、あえて小さなケージに閉じ込めて飼うという方法もあります。この場合、タランチュラはエサを捕獲しやすいので、脱皮周期を早めることが可能です。が、狭いので、蒸れる可能性が高くなったり、床材の量も少なくなるので逆に乾燥しやすくなったりもしますので、かなりコマメな管理が必要になります。一気に育て上げたいと言う方にはお勧めできますが、その分リスクも高まるので、タランチュラのbabyを何種も育て上げた経験を持っている人が行うのが良いでしょうな。まぁ、そんな方はここを見てないでしょうがねぇ。

 幼体の場合、大き目のエサを上げても良いです。その場合、必ずエサとなるコオロギ殺してから与えるか、ちゃんと咥える様を見届けましょうね。さもないと、クモがコオロギに食われると言う最悪の事態になる場合も有るわけ。満腹になれば食べやめるので、食べカスは取り除くようにしましょう。で、3日ぐらい日をあけて再びエサ投入すれば、また食べるかもしれません。それでも食べなければ、脱皮前か、お腹いっぱいかでしょうな。

 拒食がはじまったら、脱皮前と考えられるので、エサを取り除いて様子を見ましょう。腹部の刺激毛を飛ばす種の場合、飛ばした後の禿げあがった部分が黒くなっているようであれば、もう時期脱皮しますよ。成長の早い種は、大きなエサを一回与えただけで、もう拒食をはじめて脱皮すると言う、通称一回脱皮するものもあります。ポエキロやパンフォ等成長の早い連中において、稀に見られる現象です。

 脱皮が終わったら、通常2日〜3日おいてエサを与えます。それでもエサを取らない場合は、とりあえず顎を潰して弱らせたコオロギを一晩入れておきましょう。翌日食べていなければ取り除き、日を改めてまたエサを与えてください。成長につれて脱皮後に初エサ間隔が延びます。成体にもなると、脱皮後1週間程あけてからエサを与える感じになります。

 エサの他には給水が重要です。これは注意深く行わないと、水面張力によりクモがドザエモン化します。スパイダリングに給水する時は、壁面に大きな水滴を作ると表面張力により仏様になってしまうクモもおりますので、壁面には軽く霧吹きをし小さな水滴を作るのと同じに、床材も軽く湿る程度に留めましょう。あとはエサからの水分で十分です。 少し育って2cmぐらいの体長になりましたら、壁面に大き目の水滴を作りそこから飲ませたり、樹上性種で巣を作ってる個体には、その巣に水をかけてあげたりすれば良いです。週2〜3回ぐらいそんな感じで水を補給してあげましょう。2cmぐらいまでのベビーであれば、大抵の場合エサからの水分で十分なようなので、過剰な水分補給やら、水容器設置はしないほうがいいです。逆に蒸れや溺死を招きます。

 さてはて、こんな感じで飼育していれば、脱皮を繰り返し早いもので1年半、遅いものだと5年〜7年ぐらいかかって成体になるはずです。やたら成長が遅い個体とかも中にはいたりしますが、まぁ多くの原因はエサの量に起因すると思います。エサの量が少ないと、矮小化したり、小型のメスになってしまったり、本来育つサイズまで育たなかったりしますので、クモがエサを求めている間は、エサを切らさないで与えた方が無難です。脱皮毎にジャンジャン大きくなって行く様は見ていて楽しいですし、それが飼育の醍醐味でしょう。メンドウだと思う方は、思いきって成体を買ってしまうのが良いかもです。

 タランチュラはベビーであっても絶食に非常に強く、家では飢えが直接の死亡原因と思われる例は一度も無いです。たいてい「乾燥・脱皮不全・蒸れ・コオロギに食われた」のどれかが幼体の死亡原因として上げられると思います。まれにインブリードが原因か不明ですが、遺伝子疾患としか思えないような非常に弱い個体(CB群)もいて、それらはホントどう頑張っても残念ながら育たないです。特に美しいツリースパイダーに見られる印象ですが、そういうのに限って高価だったりするので始末が悪いことこの上ないですねぇ。そんな個体と巡り合ってしまった場合は「はぁ〜」と深く溜息をついて、海辺で西に沈む夕日を眺める他に道は有りません。残念ですが助け舟は出せません。だれが飼っても最終的には育てられずに落とす結果になると思います。

 うちでは一度も無いのですが、ハエによって殺されてしまうという事もあるようなので、タランチュラの成体幼体問わず飼育者は、ハエに関しては見つけ次第駆除する方向で行きましょうね。弱ったタランチュラに卵を産み付けてしまうらしいですよ。いやぁ〜、実に恐ろしいことですなぁ。

 幼体購入のポイントですが、とりあえず目だった外傷のあるものは止めましょう。そして、巣を作る種はちゃんと床材を掘ったり、糸を出して巣を作っているかがポイントです。その他には、入荷後直ぐ購入がベスト。先にも触れた通り、長期間エサやりをサボられると、成長に異常をきたしてしまいます。そんな絡みもあって、目をつけていた種は入荷後早い時期に購入するようにしたほうが良いです。


† おまけ1 -飼育頭数が増えて来た- †

 オマケがあると得した気分になります。したがってそれに準して、誰も望んでいなくてもオマケを半ば強引につけますよぉ。

 タランチュラとかサソリですが、基本的に飼育スペースを取らないので、どんどん飼育個体数が増えていってしまいますねぇ。そんな時どうしましょう?というのがここのお話し。

 いかにお金を掛けずスペースを取らずクモにとっても問題なく、効率的(且つエレガントに)に飼育できるか?と言う話になってくるわけでございます。

 まず思い浮かぶのはタッパー。100円ショップへ出かけると、ついつい物色してしまいますね。飼育ケージとして転用可能なものはないか!?という目でタッパーコーナーをジロジロ見て周り、これだと思ったものを大量に買い込むと言うわけ。帰って来て「こんなに買って来てしまったが、まだ使い道が無いなぁ・・・」と言う事態も多いですな。

 まぁそれはさておき、まず加工。加工と言っても基本は通気孔をあけるだけです。電動ドリルを購入しましょう。ついでに各サイズ入っている替え刃も有った方が良いですね。これだけ揃えても、安いものを買いますれば、5000円でおつりが来ると思います。もうちょっと良い物を買っても良いですが、タッパーに通気孔を空けるだけですから、そんなに強度は入りません。替え刃ですが、ドイツ製のシンニング加工が施されているものが良いですね。何が良いかは知りませんが、食い込みが早いと書いてあります。なので、金属にも孔を空けることが出来るシンニング加工モノがオススメです。なぜなら、家がそれだから!!

 シンニングはどうでも良いのですが、とにかくそれでゴリゴリ穴を開けて行きましょう。焦って強く押し込むと、バキっという景気の良い音と共に、見事なヒビが出来ますゆえ、見た目にこだわりたい人は注意でございますよ。焦らずソフトタッチで行きましょう。ドリルが無いと言う人は、熱したキリなんかでジュワっと穴を開けます。その場合、喚起を怠ると部屋中がクサイ香りに包まれ、気分が悪くなるので注意が必要です。

 そんな感じで、出費がかさみ部屋の中に普通の人の家には有得ないものが着々と増えて行くんでです。挙句に置き場所に困り始め、部屋が散らかると言う戦法です。家族がいる場合この辺りにも気を配らなければいけませんね。

 ドリルは一つあれば良いので、この出費は今後のためにも有効活用できる素晴らしいものとなるでしょう。まぁ、人によってはならない可能性もあるので、あれですよ、無理して買わなくても、持ってる人に借りれば済むわけ。

 左の写真のようなケースに穴を開け、床材等を入れますれば、大型の徘徊性種にもってこいで御座いましょう。ひとつ注意しておくと、地中性や樹上精種は、あまりコンパクト飼育には向きませんので、あらかじめ御了承。危険種なんかもあまりコンパクト飼育しない方が良いです。毛とかおみまいされる可能性がありますからね。

 兎に角これにドリルでたくさん穴を開けて、通気孔を作りましょう。少ないと蒸れて死んでしまうので、孔は多めに開けることを心がけましょう。また、出来るだけ小さ目の孔を空けたほうが良いです。大きな孔を開けると、その穴より、エサのコオロギが逃げ出してきて、部屋の中を徘徊し始めます。さらに蓋だけではなく、重ねることを想定してサイドにも孔を空けることがポイントでございますよ。しかし、タッパーと言うのは、今後その他の飼育動物の水容器として活躍する可能性もはらんでいるので、ケースのサイドに開けるときは、なるべく上の方に開けると良いわけ。これにて、単なるタッパーから、飼育ケージへと立派に変貌を遂げましたように見えます。

 さてはて、上のタイプは大抵積み上げて使いますが、下段にあるケージなんかは、上に積んである箱をイチイチおろさなけりゃエサやりなど出来ないため、管理が実にめんどくさいわけ。そんなめんどくさがり屋に良いのが、今回紹介する引出しタイプ。右写真のヤツですが、なんと一ヶ100円で売ってます。さすがに大型種には狭すぎますが、体長6cm程度の中型種までであれば、非常に重宝するんですよ。後ろに隙間が生じているので、通気孔を空けなくても問題無いようですが、高湿度を嫌うクモを飼う場合、サイドに穴をいくつか開けておけば完璧ですな。ただし脱走されないように、フックを付けたり、テープを張ったりすることを怠らないようにしましょうね。

 掃除やエサやり水やり、実に手軽に行え言うことないのです。わたくし現在、これがお気に入りで御座います。 これに入れられているクモは肥えてます。気軽にエサを与えることが可能と言う点が大きいわけ。

 他にもいろいろ利用可能なグッズがあるはずなので、各々探して使ってください。くどいですが、脱走だけには十分注意してくださいよ。それが全ての前提となりますよ。


 いやぁ〜、無駄に長かった!これにて終わりで御座います。

† おまけ2 -真冬の通販- †

 タランチュラを扱うお店、近所にありますか?あってもアレじゃないですか?高かったり、種類が少なかったり、店の人が良くわかってなかったり・・・。そんな現状のタランチュラ、入手はもっぱら通販による場合も多いかも知れませんネェ。

 さてさて、タランチュラとは寒さに弱いものが結構多いわけでございますが、こういう冬に限って、前々から欲しいと思っていた種の入荷があったりするもんでございます。で、注文した、届いた、全く動かない、死んでる?見たいな事ございませんか?微動だにせず、真の意味で蟲の息だったり。はい!そこのあなた!まだまだ埋葬するには早いわけ!タランチュラって意外と強いんです。以下のことをやって御覧なさい、復活するかもしれませんからね!

 じゃぁ、家にクモが着きましたって所からはじめますよぉ。

 動いてません。瀕死です。とりあえずショップに電話だ!瀕死だという旨を伝えましょう。そして、蘇生を試みると言う旨も伝えましょう。で、それでも駄目だったら、ショップの各補償よろしく!と言う旨も!じゃ、いよいよ蘇生開始です。

 とりあえず試験管卒業〜アダルトまでの蘇生方法から。

 爬虫類飼育者であれば必ず持っているであろう、そう"バスキングライト"これを持ちまして、復活の儀式を執り行いますよ。持ってない人はどうしようかねぇ・・・考えてなかったな・・・。まぁ、アルと仮定してすすめてまいります!

 やりかたは簡単。瀕死になっているタランチュラに浴びせます。30−40度位になるよう、高さを調整してクモに当たるようにしてあげますよ。広めの飼育ケージに移して、蓋を外し直接浴びせます。この時、床材はまだ湿らせないほうが良いですよ。気化熱で温度下がりますからね。

 んで、息のあるクモであれば5−10分程で、モゾモゾ動き始めますよ。でも、もう少し暖めてあげましょうネェ。その間ちゃんと見張っているようにしてくださいよ。居眠りしてたら、クモ逃げちゃうかもしれませんから、注意と緊張感を持ってくださいね。クモの命が掛ってるわけ。

 照射を終了させる目安ですが、ピンセット辺りで突付いてみまして、クモがある程度反応しますれば良しとして良いでしょう。他には、バスキングライト直下から、熱くて逃げる素振りを見せたところで切り上げても良いですね。明るいところ、クモは嫌いですからねぇ。

 切り上げました後は、地面をかるく湿らせまして、30度程度になる場所にケージを置き、そこで数日様子を見ます。折を見てエサを与えて、それを食べるようなら、もう安心して良いかと思いますよ。その後は、各種にあった適正な環境下に置いて飼育しましょうねぇ。

 ちなみに、やや低温気味で飼育する連中(ポエキロとかメガフォ属等)の場合、30度の環境へ置くと死ぬこともございますので、その辺は加減してくださいよ。

 次に、試験管Babyの場合でございますが、こちらはバスキングライトなんか当てようモンなら、熱すぎてあっと言う間に死ぬかもしれません。ですから別の方法で行きます、試験管のスポンジを外し、少し暖かい空気を入れます。軽く息を吹き込めば、試験管の中の冷たい空気が出されますので、そんなもんで良いでしょう。んで、もっかい蓋をして、試験管を手で握る!つまり手で暖めるわけでございます。実に原始的でございますね。

 普通の個人の場合、そんな1度に何十匹も購入する事は、殆ど無いでしょうから、しばらく試験管を手で握って暖めてしまう作戦でいきましょう。3匹以上買った場合、順次手で握って暖める作戦でございます。結局それかよとか言わない!人肌ぐらいの温度がネェ、熱からず寒からずで丁度良いわけ。メンドクサイから、ドライヤーで暖めるのも良いのですが、初めてだと加減が難しいでしょう。逆に一気に熱くなりすぎて死ぬ可能性も高まりますからね。人肌が良いわけ。でもBabyの場合、翌日のなるべく早い時間着であれば、それほど死んでしまう率は高くありません。むしろ低いかと思います。限りなく雪国に住んでる人が言ってるんだから、間違いないですぞ。

 最後に、儀式の間はひたすら祈ること!「復活しろぉ〜、復活しろぉ〜、生き返れぇ〜・・・・」と延々心で念じる。口に出しますれば、たちまち黒魔術師の疑いを掛けられ、女性であれば魔女狩りに処されるかもしれませんから、注意してくださいよ。

 と言うわけで、これでもう完璧でございます。

 ちなみに、ここに書いてることを、まるのまま実践して、何かあっても、当方一切知ったこっちゃ無いですからね。個人の責任でやってくださいね。<一応こう、責任逃れの1文も入れとか無いと、何かあったらメンドウだしね。

 あとですねぇ、寒さで弱ってる場合、ここぞとばかりにひっくり返し、雌雄を調べたりする事も可能でございます。でもね、相手は弱って動けないでいるのですから、程々にしてあげるようにしましょう。完全に死んでしまったら、その命はもう二度と戻ってきませんからね。その辺の事は、わかって下さいよ。

 次回のテーマは、書くとすれば冬季輸送でございますかなぁ。



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