†  Breeding Tarantulas  †
Vr.3.01 last up date 2006/01/25

 † 序 †

 タランチュラを飼っていると「この子にもそろそろお婿さん(お嫁さん)が欲しいかしら?」と思ってくる時期があるかもしれませんねぇ。でも、むやみやたらと殖やし過ぎるのもどうかと思いますが、色々と熟考の末始めましょう。

 ページは2つに分けましたよ。ここでは、雌雄の判別から交尾まで。次の項で、妊娠と産卵、卵嚢の管理と出嚢、最後に実例でございます。画像が多いですが、アナログ回線の方は、強い心で辛抱されたし。

 JavaScriptを有効にしておられますと、下のご覧頂きたいタイトルを押しますれば、その下にバシッと表示されますので、そんな要領でご閲覧くださいませ。

† 雌雄を調べる †

 まずはじめに、血統の違う成体のオスとメスを揃えることから始まります。タランチュラの成体の雌雄判別は容易で、ぱっと見たら解る場合が多いです。

        

 上の写真の場合、左がメスで右がオスです。体系的に、オスの方が脚が長く細身の体で、メスの方がしっかりとした体つきでございすよ。ぱっと見でだけでも、随分と違って見えるわけでございます。

 雌雄で決定的に違うポイントは触脚でございます。左の画像をご覧くださいませ。オスの蝕脚の先は丸くなっていて、それ伸ばすとサソリの毒針のような器官がついています。これを専門用語で移精針と言いまして、交尾のときメスの生殖器へ挿入するわけでございますよぉ。メスの蝕脚は他の歩脚と同じようなに、普通のつま先をしております。

 次ぎに違うポイントは第一脚でございます。第一脚の脛節に、メイティングフック、またはセックスフックと呼ばれるものがありまして、交接の際に、オスがメスに襲われないよう、牙を押さえるための、カギ状爪の出っ張りなのでございます。右の写真の○で囲ってある部分がそのフックでございます。

 ただしこのフックに関しては、出ない種も有るのでよろしくおねがいしますね。成体の雌雄の判別はそんな感じですぐにわかるということでよろしいですか。

 babyの雌雄判別ですが、普通非常に難儀なものでございます。なぜなら、生殖器官が出来てませんからねぇ。しかも小さいわけでしょう。違いを言いますと、オスの方がやや成長が早い気がする事と、メスよりも一回りぐらい大きな場合も有るので(Poecilotheria属等で顕著)、そんな連中であれば、わかるかもしれませんが、長期間ショップでストックされていて成長不良になっている個体とかは、もうお手上げ。と言う訳で、体長2〜3cm程度になったものから判別できると思う次第でございますよ。

 少し育って2−3cmになりますれば、多少わかって参りますよ。どこを見るかと申しますとですねぇ、腹部の裏側にある第一書肺の間を、ビシっと見るわけ。メスならばそこに膨らみとか切れ込みが見られると思いますよ。見え方は種類によって違うのですが、下の写真がサブアダルト雌個体の腹部の裏ですよぉ。ちなみにブラジリアン ファイアーレッドでございます。その下には、フリンジドオーナメンタルの雌雄を比べたところで御座います。参考までに。






フリンジドオーナメンタルの成体雌雄比較。左がオスです。



 生体の腹部の裏で判別するのは、少し難儀なものが御座いますので、より確実な抜け殻での判別方法を記しておきますよ。下の画像は、新しい抜け殻の腹部の裏側です。これも第一書肺の間を見るのですが、メスであればそこにヒダ状のものが確認できます。精子を溜め込むポケットになっているそうでございますよ。こんな所に溜めて置くから、脱皮の時に、ボニョボニョ・・・





メス

Mレッドニー


ピンクトー


Af.ホーンドバブーン

ゴライアスBE


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(A.brocklehursti)



オス

ブラジリアンピンク


グリーンボトル


Mレッドランプ



 見慣れて来れば、ぱっと見でも「これはオスっぽい気配がする・・・」等と解ってくると思います。と、言うわけでございまして、ここいらで雌雄の話しは終わらせていただきますね。


† 交接前の準備 †

 タランチュラの繁殖は、簡単では無い感じです。その最大のハードルが、条件の揃った雌雄をそろえる事。その条件というものを、準備としてここにチョボチョボと記しておきますよ。

 まずメスの準備でございますが、腹部に卵を持ってそうな雰囲気の個体(腹部があまりにも小さな個体は避ける)であることと、数週間前に脱皮を済ませたメスが良いです。なぜならですねぇ、交接後にメスが脱皮してしまいますと、そのメスは無性卵しか産みません。抜け殻に精子が付いて、一緒に剥がれてしまうのだそうです。やってみるとわかるのですが、この脱皮が実に厳しいのでございます。辛いわけ。

 交接前にはたっぷりエサを与え、なるべく満腹にさせておきましょう。また、交接させる数日前に、メスを広めのケージに移しまして、巣を作る種なんかは、しっかりと大きな巣を作らせておくなどして、なるべく自然環境に近いものを用意して、個体を落ちつけておくことが重要であると思いますよ。

 一方オスの方でございますが、精子網(スペルマウェブ)と呼ばれる網を作ったかどうかがポイントです。精子網は、非常にきめ細かい網で、その上に精子を放出し、先に言ったサソリの毒針状の器官でその精子をスポイトの様に吸い上げ交尾の準備が完了します。

 オスが精子を放出している写真と、吸い上げている写真です。この様子が観察できなくても、網は残っているので、精子網を作ったことが解るわけ。


 精子網の跡が見られましたら、オスの準備が出来た証でございます。一般に、オスの最終脱皮後一ヶ月以内で、この網を作り始めるので、ケージ内を良く見てくださいな。網の痕跡がありましたらOKでございます。


† 交接 †

 準備が整ったら交接です。これがスリリングなんでございますよ。へたすりゃオスが食べられてしまい「あーぁ〜。」と溜息をついて終わりと言う事になるんだもの。実に怖い事でございます。

 まず、広めのケージ内で落ち着いたメスのいるところに、オスを投入しますよ。緊張の一瞬でございます。オスにやる気が有る場合、メスの気配を感ずると、ジリジリと接近して行き、地面をバタバタと叩くような仕草、通称タッピングまたはドラミングとよばれる動作をはじめます。しない場合も有りますが、普段とは少し違う不穏な動きを見せるはずです。メスに接近し、体に触れて見たりなんなりして距離を測ります。そして、一気に喧嘩するかのように強引に交接体制へ持って行く場合も有れば、あっさりと柔らかく交尾の体制になるものも有ります。



コスタリカン ゼブラレッグ
左の茶色いのがメスで、黒いのがオス。ジリジリとにじり寄って行き、メスが威嚇の体制を取ると同時に、オスは素早くメスの下に潜り込み交接する。


 一緒にして直ぐに交接に至るも有りますが、なかなかしない場合も有ります。そんな時は、オスに小さ目のプラケを被せて放っておきましょう。すると、お互いプラケ越しにタッピングしあったりしますので、その塩梅を見計らってプラケを外してみましょう。タッピングは結構強く叩くようで、耳をすませば、その音が聞こえてくるほどでございますよ。

 潜る種の場合、オスはメスの巣の入り口で交接したり、メスが出て来たり、オスが完全に巣穴に入ってしまったりと、さまざまな体制で交尾する様子が観察されるわけ。樹上性の種は、壁面で問題無く交接してますよ。クモ達は基本的に器用なようで、いろんな所や体制で、臨機応変に交接可能なようでございます。

 交接後、メスが急に荒くなり、オスを食べようとする場合があります。そんな時は、オスに素早くカップを被せてガードしたり、ピンセットで介入するなどして強引に引き離してあげましょう。運悪くメスに食われてしまったら、もう諦めるしかありません。稀に、オスがメスに噛みついてしまうことも有ります。そんなときは泣くしかないわけ。左の写真は、オスを食べてるチリアンコモンです。

 しっかり受精させるために、交接を数日置きに数回繰り返し行います。数少ないと、受精に失敗し、無性卵を産む場合がるので注意しましょうね。あと稀に、交接不成功だったけども、無性卵を産む個体があります。交接したと勘違いして産むんでしょうかねぇ。

はい、じゃぁ次の項へ行って下さい。下にあるでしょう、そこを押しますれば、次の項へいきますよ。


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