坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)2013/01/09    加藤登
<まえがき>
  むかし、退職してまもなく自家用車で東北を旅行しました。そのとき一関から平泉へ向かう途中「達谷の窟毘沙門堂」を見学し、坂上田村麻呂と題した文章をホームページに載せました。古い話なので昨年旅日記から削除したところ、このたびNHKテレビが「アテルイ伝」として歴史ドラマを放送すると聞いたのでこの記事を復活させることにしました。
   
  94年6月、奥州藤原三代の歴史を描いたNHKの大河ドラマ「炎立つ」が火付けとなって平泉は観光ブームにわいていた。私たちはかんぽの宿一関を出て平泉に向かう途中「達谷の窟」に立ち寄った、7世紀の終わりころ奥州征伐に向かった坂上田村麻呂に滅ぼされた蝦夷(エミシ)の首領悪路王がたてこもった岩窟である。
 そのころ、朝廷の政策で進められた東北開拓が先住民族(狩猟採集生活者)の抵抗ではかどらない状態だった、ときの恒武天皇は坂上田村麻呂を派遣して、いまの岩手県水沢市(現在は合併して奥州市)付近に堅牢な城壁を築き、朝廷側に帰順した農民(俘囚と呼ばれていた)を守り、延暦16年(796)征夷大将軍に任ぜられてこの地域を支配した。
 朝廷は農耕をすすめ、律令体制が整うと旧来の狩猟生活を続ける連中は租税を納めない、そこで大規模な遠征によって米を作る百姓を守り、狩猟生活者を討伐の対象としたようである。蝦夷(エミシ)を野蛮で荒々しい人種のように云ったのは朝廷の政策上の都合で、エミシも職種の違う同じ日本人と思えば間違いない。
 
達谷の窟
 
高館からみる北上川
  さて、平泉では中尊寺金色堂、毛越寺、高館(たかだち)、義経堂、を見学した。
        「五月雨の降り残してや光堂」 芭蕉       「夏草や兵者どもが夢の跡」  芭蕉
 高館から眼下にゆったり流れる北上川 を眺め、義経の像にお参りした、堂守のおばさんが義経最後の模様を詳しく話してくれた、。
 さて話の続きはこの翌年に始まる、青森のねぶた祭りでその年の最優秀作品となった 「ねぶた」に田村麿賞が与えられていたが、この田村麿賞が問題になっていた。新聞報道だけで具体的な論旨はわからないが、この東北地方を征伐に来た支配者をたたえるような賞はいかがなものか、、、、、、。というような論争がおこり、結論はさだかでないがたぶん賞から外されたようだ。
 歴史は常に勝者の立場で作られるが1000年以上の歳月を経て、敗者の立場で議論されることに強い興味を覚えた。                                ホームへ戻る

                    

続・坂上田村麻呂 
  「剣舞」  
アテルイのイメージ像
 「延暦8年英雄伝説」
北海道新聞、日曜版「道を歩く」を毎週楽しみにしたいる。
その平成15年8月10日(日曜)号で「大和朝廷と戦ったアテルイの地」と題して石巻から平泉、胆沢、北上、水沢、志波を取材している、この記事の中で岩手県水沢市(奥州市水沢区)で「延暦8年の会」という仲間が古代大和朝廷と戦った郷土の英雄アテルイ(阿て流為)に光を当てた歴史好きの仲間を紹介しているのが目にとまった。
記事からの要約
※かってこの地には大和朝廷が蝦夷(えぞ、えみし)と蔑む人々が住み、独立した豊かな「日高見国」があったと伝えられる。奈良時代の末期、大和朝廷は多賀城(仙台付近)から5万の大軍を派遣しこれを攻めた、これを迎え撃ったのが蝦夷(エミシ)を率いるアテルイだった。
 水沢市内の居酒屋に集まった「延暦8年の会」会長、佐藤さんは延暦8年という年は少し誇りを持っていいのかと思うんですといって胸を張ったと紹介している。
 巣伏の戦いで朝廷から賊師とされたアテルイは盟友モレ(母礼)とともに延暦21年(802)4月坂上田村麻呂に投降、京都に赴き8月モレとともに斬首されたとされる。なぜ兵力を残しながら戦いを止めて京都に出向いたのか謎が残り田村麻呂が二人の除名を願ったものの聞き入れられず、朝廷側が約束を破って処刑したと見る説もある。
  一関の「達谷の窟」でも蝦夷(エミシ)の首領悪路王が立てこもったとあるが、いかにも悪党らしくイメージされている。しかし見方を変えれば土地と生活を守るために朝廷軍と戦った武将でろう。
 延暦8年の会の人たちもこちらから見れば英雄ですからとアテルイのイメージ像をつくり水沢市(合併、奥州市水沢区)の観光物産センターに展示してある、朝廷側の神社に伝わる像はもっと猛々しい。
 勝者は伝説を残し、破れたものもまた、ひそかに語り継がれる。岩手県内には田村麻呂が開いたとされる寺や仏像が多く、一方県南部の農村にはアテルイや蝦夷(エミシ)の末裔と云われる阿部一族、源義経など悲劇的な最期を遂げた人々を供養する独特の民俗芸能「剣舞」が広く伝わっている。 (以上 道新日曜版より)
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