1.高次脳機能障害とは
高次脳機能障害は、頭部外傷、脳血管障害等で脳に損傷を受け、その結果生じた脳の持つ知的な活動に障害が生じたものをいいます。脳のもつ機能の中でも運動機能に障害が残った場合には身体障害として認識されやすいのに対し、知的障害はなかなか認識されづらく、医学的にも行政的にも最近まで十分に認識されていませんでした。このため、身体障害者のような明確な認定がされないまま放置されているのが現状です。高次脳機能障害は内容も多岐にわたっており、失語(言発声は出来るが言葉を話せなかったり、声は聞こえるが聞こえた内容を理解出来ないこと)、失行(運動機能に障害がないにもかかわらず、行おうとする行為を的確に遂行できないこと)、失認(感覚的な障害はないが見たもの、聞いたものが何であるか理解できないなど認知機能の障害)、記憶障害、性格変化、感情障害、集中力低下、理解力低下、判断力低下、社会的不適応等があります。脳血管障害では、CTにて脳の損傷部位が確認しやすいのに対して、頭部外傷(特に軸索損傷)ではCTにて損傷部位を確認できない場合があり、交通事故や労働災害等での後遺障害認定の場合に問題となっています。
高次脳機能障害に対する障害認定は現在のところ難しく以下に示すものが私の知るところです。(これ以外にもあるかも知れません)
2.高次脳機能障害の人が受けることが出来る可能性のある障害認定
* 高次脳機能障害は人により障害の種類も程度も異なっており、受けることのできる障害認定も同一ではないことをご了承下さい。
<身体障害者>
身体障害者認定は身体障害のある人に対して法律の定める基準により認定されます。高次脳機能障害では身体障害を伴わないことが多く身体障害の対象とならないことが多いのですが、失語などは身体障害の認定項目にあり基準を満たしていれば認定を受けることが出来ます。
診断書作成
身体障害者認定は指定医制度があり医師であれば誰でも作成できるものではありません。指定医の診療科目により作成できる身体障害が制限されています。失語は"音声言語機能の障害"にあたり、耳鼻科及び神経内科医、脳神経外科医(2000年より加えられた)で指定医の認定を受けた医師が診断書を作成できます。
<精神保健福祉手帳>
精神障害者が受けることが出来ます。精神障害者とは、精神分裂病、中毒性精神病、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有するものとされています。(精神疾患は、精神上、心理上及び行動上の異常や機能障害によって、生活を送る上での能力が相当程度影響を受けている状態を包括的に表す用語として医学上定着しています。従って、精神疾患に該当するかどうかの判断は、思考、現実認識、意思疎通、記憶、感情表出、問題対処等の機能が損なわれているかどうかを診断することによって行われます)
程度は法により1〜3級の等級が定められています。
高次脳機能障害者は精神障害者の定義上"その他の精神疾患"に分類されますが、実際に交付されている件数は多くはないようです。
診断書作成
指定医制度はなく、何科の医師でも作成できます。しかし、疾患の性格上、精神神経科の医師が作成することが多いと考えられます。(私自身が診断書を作成したことはありません)
<療育手帳>
知的障害者福祉法に基づくものです。しかし、同法には知的障害者の定義はなく社会通念上知的障害者と考えられているものと解釈されています。認定に関しては、受傷時の年齢が18歳未満であればその原因にかかわらず以下の基準を満たせば認定されます。(受傷時の年齢が18歳以上の場合にはどんなに重症であっても認定を受けることが出来ません)
認定基準
A(重症):IQ35以下のもの、またはIQ50池で身体障害1〜3級を合併し、日常生活で常時かごを要するもの
B(その他):その他の程度のもの、都道府県により若干の違いがあるがおおむねIQ70以下のもの
<障害年金>
障害年金は受給資格のある人が障害を有する場合に申請することが出来るものです。その障害は身体障害、神経障害、精神障害があります。高次脳機能障害の場合には神経障害と精神障害が該当すると考えられます。神経障害の場合にはそれに相当する身体障害が見られることになるので特に問題はおこらないと考えます。しかし、問題となる高次脳機能障害の多くは精神障害が主体となりそれに神経障害は加わる場合です。精神障害のみの場合もあります。
この場合には精神の障害としての障害年金の診断書を作成して申請することになります。この診断書は、精神保健指定医もしくは精神科を標榜する医師でなくては作成することができません。(特に頭部外傷後に精神症状を出している場合には脳神経外科医が主治医となっていることが多いのですが、脳神経外科医はこの診断書を作成できません)
実際にどの位の人が障害認定を受けているのかというと、極めて少ない、というのが現状のようです。申請も現在のところそれ程多くはないようです。
高次脳機能障害の人をサポートしている団体へのリンク
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