脳ドック


1. 脳ドックとは
脳ドックは脳の異常を症状が出る前に発見し適切な治療を行うことを目的として実施されています。

2. 脳ドックでわかること
脳ドックでは、脳腫瘍、脳動脈瘤、脳の血管奇形、脳梗塞、びまん性白質病変、頭蓋内主幹動脈の閉塞・狭窄(脳を栄養する動脈の閉塞や狭窄)、脳出血、脳の先天的な奇形、慢性硬膜下血腫、脳の萎縮等の頭蓋内の出血等がわかります。
下の表は、昨年旭川赤十字病院脳ドックにて見つかった病気の種類です。

受診者数(平成15年1月-12月) 978
脳動脈瘤(確実) 17
脳腫瘍 4
頭蓋内主幹動脈閉塞 4
頭蓋内主幹動脈狭窄 14
頸部内頸動脈狭窄 7
脳梗塞(陳旧性) 35
脳出血(陳旧性) 2
慢性硬膜下血腫 1
嚢胞 1
びまん性白質病変 156

脳腫瘍は頭蓋内に出来た腫瘍性病変のことです。多くの場合、放置すると大きくなり頭痛、運動障害、知覚障害、言語障害、視力・視野障害といった症状を出してきます。良性で発育速度の遅い腫瘍では治療を行わずに経過を見ていくこともありますが、通常は手術、放射線療法、化学療法その他の治療を行うことが必要となります。

脳動脈瘤はくも膜下出血の原因となる異常です。脳ドック等にて、偶然発見された脳動脈瘤は未破裂脳動脈瘤と呼ばれていますが、これがくも膜下出血を起こす確率は1%前後(今まで報告された統計により少しの差はあります)と考えられています。一度くも膜下出血を起こすと多くの場合、命を落としたり重篤な後遺症を来たします。未破裂脳動脈瘤は適切な治療を行うことによりくも膜下出血を起こすことを防止できます。

脳の血管奇形は放置した場合に、頭蓋内出血や痙攣発作を起こすことがあります。治療は、手術、血管内手術、放射線治療等が行われています。

脳梗塞は脳を栄養する動脈が閉塞することにより、脳が栄養障害を起こして破壊される病態で脳ドックで発見される脳梗塞は過去において起こした傷跡を見ていることになります。従って加齢とともに出現率が増加します。症状を出さないいわゆる無症候性脳梗塞を発見することが脳ドックの目的の一つです。脳梗塞が見つかった場合、脳梗塞そのものを治療するのではなく、脳梗塞を来たすような基礎的な病気(高血圧、糖尿病、高脂血症、不整脈等の心疾患)が存在している可能性があります。これらの疾患を探し、それがあれば治療を行うことになります。また、脳梗塞が再発しないよう薬物療法を開始することもあります。

びまん性白質病変は脳室周囲や深部白質に見られる異常です。加齢とともに出現率が増加することがわかっています。この変化に関してははっきりと原因がわかっていない部分もありますが、脳の虚血により生じることが多いといわれています。この病変そのものに対する治療は必要としませんが高血圧等の生活習慣病のcheckを行うことが必要です。

主幹動脈閉塞及び狭窄は脳梗塞になる可能性のある異常です。動脈の閉塞・狭窄により脳が受け取る血流量が減少していたり、血圧下降時などに減少する可能性が高いときにはバイパス手術を必要とすることがあります。また、狭窄した血管を拡げた方がよい場合もあります。手術を必要としないまでも、脳梗塞予防の為の薬剤を使用したほうがよい場合もあります。

頚部内頸動脈狭窄は脳梗塞になる可能性のある異常です。頚部の内頸動脈起始部が細くなることにより脳が受け取る血流量が減少したり、狭窄部で血液が固まって脳の血管に飛んで閉塞を起こすことがあります。狭窄の程度が強い場合には手術でその部を拡げる治療を必要とします。

脳出血は脳の血管が切れることにより起こります。脳ドックで発見される脳出血は過去において血管が切れたことを示すもので、脳出血そのものが治療の対象となることはなく、脳出血の原因を検索し、その治療を行うことが必要となります。脳出血の原因の多くは高血圧ですが、頭蓋内血管の奇形、血液異常、腫瘍が原因となることもあります。

くも膜嚢胞・その他の嚢胞は頭蓋内に存在する嚢胞(液体の溜まった部分)で多くは生まれつきもっているものです。脳ドックなどで偶然に発見されたものでは多くの場合治療を必要としません。

慢性硬膜下血腫は頭部の軽度の外傷後2〜3週から数ヶ月後に症状をだす病気です。通常は頭痛や、歩行障害、四肢の運動障害を来たして検査を行い発見されることが多いのですが、たまたま症状を出す前に脳ドックで見つかることがあります。これは適切な治療を行うことにより治る病気です。

脳の萎縮は加齢とともに進行しますが、アルツハイマー病等の認知症で萎縮を伴うものもあります。脳の萎縮の程度は個人差があり、萎縮のみで病気と判定することはありません。脳の機能、血流、代謝等を加味して異常かどうかを判定します。通常の脳ドックのみで認知症の判定は出来ません。

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