新属新種の巨大イカの化石が発見されました!
北海道北部中川町のワッカウエンベツ川に分布する白亜紀の地層(約8000万年前)から現在の海洋に生息しているダイオウイカに匹敵するほどの巨大なイカの顎器(カラストンビ)化石が発見されました.白亜紀の北海道には,オウムガイや白亜紀末に絶滅したアンモナイトなどの頭足類が繁栄していたことが古くから知られていましたが,アンモナイトのように殻をもたず,化石化することがほとんどないイカ類が発見されることは,世界的にみて非常に稀なことです.発見された顎化石を現在のダイオウイカなどの顎と比較した結果,中川の巨大イカは全長5m以上の体長が復元されます.生命が誕生してから最も温暖で,様々な環境変動が存在した激動の時代である白亜紀の地層からの巨大イカ化石の発見は,白亜紀の海洋生態系を考える上で極めて重要であり,さらに,現在のイカ類の進化を考える上でも貴重な発見です.この巨大イカは,棚部教授らによってエゾテウシス・ギガンテウス(Yezoteuthis giganteus;蝦夷(北海道の旧名)の巨大イカ)と命名されました.

公表までの経過;エコミュージアムセンターオープン時に中川町4区在住の小池豊氏より二枚貝やアンモナイトなどを寄贈いただいた.その中に大型のカラストンビ化石が含まれており,アンモナイトのものとして自然誌博物館内に展示していましたが,平成15年夏に東京大学の棚部教授が来館された際にアンモナイトではなくイカ類のカラストンビである可能性が示唆されました.この標本は小池豊氏が町内のワッカウエンベツ川で採集したものです.この標本は棚部先生のもとで研究が進められ,平成16年7月の日本古生物学会で発表された後,アメリカの古生物学会誌Journal of Paleontologyに棚部教授が筆頭執筆者で投稿し,平成18年1月号に掲載されました.
公表論文;Tanabe, Hikida and Iba (2006) Two coleoid jaws from the Upper Cretaceous of Hokkaido, Japan. Journal of Paleontology, vol.80, no.1, p.138-145.
新属新種の巨大イカ発見のニュースは,町内向け広報誌「エコトピックス第6号」にも掲載しています.エコトピックスはエコミュージアムセンター広報誌「Eこーる」の瓦版で町内主要施設および学校に掲示していただいています.