大雪山国立公園の問題

第3回
大雪山国立公園糠平集団施設地区整備方針検討会の報告
「自然保護」や「森林復元」という発想なし

 当会と北海道自然保護連合が環境省に2月7日に提出したこの検討会に関しての「抗議と要望書」に対しての回答が2月20日付けでありました.ただしこの回答は文書番号も印鑑もなく,公文書といえる体裁になっていませんでした.(また、宛名に「様」がついていないのは無礼であろう.)

 要望した「自然保護センターの提案」と「自然保護教育等の拠点とする提案」については回答していません.「環境省が主体的に整備・検討を行う施設は,境界標識等の管理施設を除き自然公園法に基づく公園事業に該当するものに限定されています」とのことですが,自然公園法で「自然保護センター」のような性格の施設の設置を否定しているとは解釈できず,理解に苦しむ回答です.

 2月22日に第3回の検討会が開催されました.冒頭で座長が「この検討会には個人や団体から意見を寄せられており,十勝自然保護協会からも文書をもらっている.検討会の性格は助言の立場であるが,環境省にはここでの意見をきちんと受け止めてもらいたい」との発言がありました.

 検討会では環境省の案が提案され,ビジターセンターの位置や役割の問題を中心に,ひがし大雪博物館との関わりなどについて話し合われました.前述した「抗議と要望書」の中で要望した「自然保護センターの提案」と「自然保護教育等の拠点とする提案」については,事務局からの紹介はありませんでした.環境省の提案したビジターセンターの位置づけは,情報提供の拠点をメインとし,自然や文化資源の解説・地域活動の支援・自然体験活動への誘導などです.「自然保護」や「森林復元」という発想はありません.施設周辺の緑化や植樹イベントを「森づくり」と説明していましたが,このようなことを「森づくり」というのには驚かされました.

 最後に糠平自然ガイドセンターの河田氏から「集団施設地区外も対象とした地域の活動,自然保護のアクションを起こす拠点となる」との提案がありました.また伏島座長からも「個人・団体からの意見も寄せられており,ふれあい自然塾の経緯も理解している.森をどのように再生させていくかという課題の中での検討会であった.林野庁との関係もあるが,地域の活動を支援する拠点ということも盛り込んで欲しい」との意見が出されました.環境省はこれらの意見を真摯に受け止めていただきたいものです.

 環境省の国立公園の管理事務所は「自然保護官事務所」という名称です.環境省はその名称のとおり自らの事業において自然保護を基調にすべきですが,そのような視点が見受けられないことは嘆かわしいといわざるを得ません.

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