大雪山国立公園の問題

然別湖畔に建設予定の博物展示施設建設中止の申入れ     

2006年11月7日 

 十勝毎日新聞社長 林 光繁 様
 鹿追町長    吉田 弘志 様

十勝自然保護協会 会長 安藤 御史 

然別湖畔に建設予定の博物展示施設建設中止の申入れ

 さる10月3日,当会は然別湖畔に計画されている博物展示施設について,鹿追町および十勝毎日新聞社より説明を受けました.説明によると,鹿追町は昭和54年に北海道電力から無償で譲り受けた然別湖畔の白雲山登山口にある保養施設を十勝毎日新聞社に譲渡して博物展示施設として建て替えるとのことです.

この建物は,大雪山国立公園の保護と利用に関する管理計画に「博物展示施設」とする方針が盛られている(北海道新聞10月13日付)とのことですが,国立公園の第一種特別地域でありナキウサギの生息地でもある場所にこのような施設を建設することは,景観や希少動植物の保護の観点から不適切です.

 当会は以下の理由により,この施設建設を取りやめ,自然を復元することを求めます.

1.当該地区は国立公園の第一種特別地域であり,利用より景観および生態系の保護を重視すべき場所です.新たな施設や駐車場などにより,然別湖の景観が破壊されるとともに,周辺に生息する動植物に悪影響を与える可能性があります.

2.当該地域はナキウサギの生息地であり,新たな建物の建設による騒音や振動が周辺に生息するナキウサギに影響を与える可能性があります.また,多くの人が車で訪れることによる影響も懸念されます.

3.十勝毎日新聞社によると,展示内容は,然別湖周辺の自然史のほか,松浦武四郎やアイヌ文化に関するコレクションとのことでした.松浦武四郎が然別湖を訪れたという事実もありませんし,アイヌコタンが然別湖に存在したという事実もありません.したがって,松浦武四郎やアイヌ文化のコレクションは,然別湖畔とは直接関係のないものであり,然別湖畔にこのような施設を建設する必要性はないと考えます.

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