第2回 観 察 会 2000年9月24日

十勝三股       

 benitennbudake.GIF
9月24日の観察会当日は、朝から小雨の天気である。
晴れ間は望めそうもないが、雨天決行とのことであったので雨具に身をかためて三股に向かうと、幌加あたりから雨は止み、なんとなく明るくなってきた。
 三股は緑も色あせ、モズの高鳴きがひびき、すっかり秋の気配である。
集合時刻には8人が集まり、「きのこ狩り」を兼ねた三股観察会となった。
 

 
まず初めに、ヒグマの食痕(写真)観察した。
場所はなんと三股山荘の北側の薪置き場と、道路の脇で、蟻塚を襲ったものである。
三股では民家のすぐ裏手にヒグマが出没するのである。現在バリアフリーの歩道が通っている線路跡地は、ヒグマの通り道だったのだから当然といえば当然である。線路跡地は歩きやすい上、ヒグマの好物であるケズネアカヤマアリが多い。線路跡地でヒグマを目撃した話もいくつか聞いている。あずまやの壁に「ひぐま出没注意」と貼り紙があったが、クマの道に歩道を造った人間の方が、問題ではなかろうか。 ちなみに、今日食痕を観察したところもバリアフリーの歩道予定地である。

 2年前に造られたウッドチップ舗装は、ウッドチップがはがれたり、浮き上がったりして砂と糊の固まりのようになっている。 耐用年数はどのくらいなのだろうか。 糊に使っている化学物質は、流れ出て来ないのだろうか。 路傍には、去年気が付かなかったビロードモウスイカが何本も生え、小さな種をびっしりとつけていた。 今年度新たにバリアフリーの歩道と木道を予定している草地は、集落跡地だったようで、水道管や投げ捨てら融たゴミ、傾いた大小屋などが在りし日の面影をとどめている。 このあたりは春にはオオジシギがよく見られるところだ。

 きのこを探して下ばかり見て歩くのだがなかなか見つからない。環境庁の基本計画でキャンプ場を予定していた台地の南西部分には実生のカラマツが生えてきている。 三股にかつての森林を再生させるのであれば、このカラマツを大きくするのは問題であろう。

 トンボ池に行く林道の脇の水たまりは、湧水なのでかなり冷たい。 ここではエゾサンショウウオの幼体を見たりザリガニの死体を引き上げて観察した。 トンボ池は、もうトンボの姿はなく、水位も下がって以前の姿にもどり、一時は激減したカラフトノダイオウ(写真)もいくらか回復してきたようである。 池のまわりの草地には、エゾリンドウ(写真)が長径の花を咲かせ、花の終わったシベリアシオガマやエゾノコギリソウが秋を告げている。 レッドリストに載っているタライカヤナギやクロミサンザシもじっくり観察した。

 最後は「きのこ狩り」である。草の上を手のひらで押さえて、わいわいがやがやきのこを探した。 ハタケシメジと思って採ったきのこは、どうやらオシロイシメジだったらしい。 ここに歩道をつけ「道から出ないように」などということになったら、こんなことも出来なくなるのだろうか。  「自然とのふれあい」がお仕着せにならないように、と思わずにはいられない。

( 松田まゆみ )

「十勝三股の自然は、いま・・・」のメニューへ戻る
十勝自然保護協会ホームページへもどる