バーのカウンターの中で一番偉いのはたいてい「マスター」と呼ばれている。
こういう人とお酒の話をするのもよいけれど、次に偉い人、「チーフ」と
呼ばれる人と話をするのがまた、楽しい。
なんと言ってもお酒に対する愛情と情熱が強く、真摯さが感じられて気持
ちがよい。もちろん、どこのバーでもそんなに真面目なチーフばかりとは
限らないが、少なくとも、光亭の種田園江さんとか、ベル・オブ・リンカーン
の前田さんなんかはお酒を美味しくしてくれる人たちである。
スコッチの飲み方っていうとちょっと前まではストレートが当たり前って
感じだったけど、最近はそうでもなくなってきましたね。まあ、「おいしんぼ」
で取り上げられるくらいポピュラーな飲み物になった来ってことでしょう。
例えば、少々の水で割って飲むなんてのも「おいしんぼ」や「レモン・ハート」
のおかげで普及してきましたしねしかし、氷を入れるってのは私は好きじゃない。
せっかくの香りがあまりたってこなくなっちゃうから。でも、ウイスキーフロート
っでやつはなかなかしゃれています。氷を入れたグラスに水を半分くらい入れて
その上にウイスキーをそっと浮かべる。ブレンデッド・ウイスキーなんかにはよ
いのでは。そう言えば、ハイボールっていうのもブレンデッド・スコッチならで
はの飲み方ですよね。「レモン・ハート」では、ハイボールの上にもとになる
モルトをのせる「スーパーハイボール」なんてのを紹介してましたが、だれか
試した人います？
かたやバーボンになると、ストレートがよいかロックがよいか難しいところ。
私は普段飲むバーボンはストレート。ちょっと上品なバーボンならロックとい
うふうにしています。ストレートのときに物足りない感じだったのが、ロック
にすることで引き締まった感じになることが多いのです。安いやつでも、ジム・
ビームのブラウンなんかはロック向きかも知れません。
私の一番すきなスピリッツはなんといってもジン。
ジンといえば、ロンドン・ジンが日本ではポピュラーですが、歴史が古いのは
オランダのボルス・ジュネバですね。私はこれが苦手でして、ちょっと泥臭い
感じがしてしまう。美深の酒で「ゆり焼酎」ってやつを飲んだことがあるんで
すが、それに通じるにおいがあるんです。きっともろみから蒸留する時の回数
が少ないのではないかと想像するのですが。焼酎だって甲種より乙種がもては
やされる時代ですから、このボスルもそう言う人に支持されるんでしょうね。
ＢａｃｋＢａｒのコーナーにはワインがありませんが、実はワインもよく飲
むんですよ。といっても１０００円以下のやつばかりですが。
赤ワインがブームになって、いろんな国のワインが輸入されるようになりま
したが、「タートヴァン」のマスターにすすめられて飲んだのが「コンチャ・
イ・トロ」とかいうチリのワイン。しっかりしたボディがあって、うまかった
んだなあ。これが。
ビールって上手につげます？よく、上手についだら2割程のあわがずっと壊
れないなんて言うじゃありませんか。これがむずかしいんだよねえ。サントリ
ービールの宣伝で、最初のちょっとを勢いよく、泡が落ち着いてから、残りを
静かになんてやってましたが、その通りにやってもうまくいかない。
で、上手につげないんなら最初からつがなきゃいいってんで、缶ビールを愛し
ておりました。はい。しかし、最近宗旨替えをしたんです。
多少、下手でもやっぱりグラスについで泡がたったやつを泡が消える前に飲
んでしまうのがやはり一番美味しい様です。
幻のリキュールといえば、「アブサン」。なんで幻かというと、元祖のフラ
ンスで法律で禁じられてしまったんですよね。アブサンの中に含まれるニガヨモギ
に中毒性があるとかで。ヘルメスのリキュールで「アブサン」というのがあり
ますが、当然、にせものですね。
と、こんなことを書いていたら最近アブサン復活の兆しがあるようですね。
このホームページを見てくださったgreenさんという方からご指摘をいただきまし
た。
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HPを見せていただき、アブサンに興味を持ちました。かつては禁止品ではありま
すが、最近は合法的に作られたものが酒屋でも輸入されているのを見かけるよう
になりましたね。ネットで成分の強い製品を輸入している所を耳にしました。す
でにお試しになったでしょうか？なんでもＥＵの健康基準を超えている製品とか。
たぶん違法でしょうね。文献で元祖はスイスと読みました。発明したのはフラン
ス人で何十年かしてフランスで商業発売されたとか。
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あわててインターネットで検索しましたところ，いくつかヒットいたしまして，
有害成分を取り除いたものや規制していない国で作られたものなどが存在して
いるようです。
カクテルといえばマティーニというくらい有名なカクテルであります。カク
テルの話はここから始めるといたしましょう。
もともとはマルティニ社がベルモットを使ったカクテルコンクールを開き、
そこで優勝した作品だったらしい。その時はスィート・ベルモットと使ったス
イート・マティーニだったそうな。
で、現在はマティーニといえばドライ・マティーニですが、一つこいつの
一般的な作り方をおさらいしておきましょう。
まず、ミキシンググラスを冷やすために氷と水をいれる。おっと、ここで、
グラスにも水と氷を入れて冷やしておくのを忘れずに。で、ミキシング・グラ
スの氷をバースプーンでかき混ぜる。かき混ぜかたにも留意点があるが、別
の機会に。で、十分冷えたら水を捨てる。水分が残らないようにストレーナー
を使ってきっちり水を切る。ここに１／５ほどのドライベルモットと４／５
ほどのジン、場合によってはオレンジ・ビターズを１ダッシュほどいれて手
早く静かにかき混ぜる。あとは、グラスの水を捨ててつぐ。好みによって
レモン・ピール（レモンの皮の汁を振り掛ける）したり、オリーブのピクル
スを洗って、水分を切ったものを添えたりする。ちなみに、アメリカではほ
とんどオリーブを添えないらしい。
で、ひところはいかにドライなマティーニをつくるかってんで盛り上がった
ころがありましたね。
「ベルモットのラベルを見ながらジンを飲む」なんてのはさておいて、その
頃もてはやされたのが「リンス・スタイル」ってやつ。氷にベルモットを入
れた後、もう一度ストレーナーを使ってベルモットを捨ててしまい、後はカ
クテルグラス分のジンを入れるだけってやつ。
ハッキリいって、こんなもん飲むならジンのストレート飲んだ方がよっぽ
どうまいと思うのだが。現実問題、ジンのストレートよりも美味しいマティーニ
に出会える確率と言うのはそう高くない。だからこそ、マティーニでは
マティーニでなくてはならないのであり、ジン・ストにはない味わいを求めたい。
てなわけで、光亭で「やっぱり、マティーニってのはある程度ベルモット
の香りがしなくちゃうまくないよね。」って話してたらマスター、「そうそ
う、でね、冷えてたらうまいってのも違うんだよねえ。できて、室温になじ
んで香りがふわっと立ってくるところをカッと一気に飲むのがうまいんだ」
と逆襲された。
で、私の定番は、ノイリープラット１／５、ビーフィーター４／５、ビ
ターズなし、レモンピールあり、オリーブは洗わないものを添える。ノイリー
とビーフィーターというのはまあ、ゴールデンコンビで、大半のバーでは
この組み合わせでしょう。ただ、ジンはタンカレーでもゴードンでもいい
けど、ベルモットはやはりノイリープラットでなくちゃ。レモンピールも
すき。オリーブも大好きなンで、光亭では山程つけてくれたりする。
そうそう、自宅で飲むならロック・スタイル。オールドファッションの
グラスに氷とベルモットとジンをいれて軽くまぜてできあがり。
