近年、注目されよく目にする病気です。まったく普通の妊婦さんを調べてみても5%という高率で陽性になります。(潜在している患者が多いことを意味
します)クラミジアトラコマーチスという細菌よりもさらに小さいウィルスに 近い微生物によりおこされる子宮頚管の炎症です。感染経路は性行為によって
子宮頚管から侵入し、子宮、卵管を通り、骨盤腹膜へ拡がり、さらに上にあ がって肝臓周囲とお腹全体に広がって行きます。
症状ははじめは無症状ですが、ひどく疲れたり、妊娠して免疫が衰えたときに発症します。それはお腹の痛みからはじまります。程度もさまざまでお腹が
はると言うほどのものから救急車でくるほど激しい痛みを訴えることもあります。持続するごく少量の性器出血の時もあります。卵管に炎症が波及した場合、卵管がつまってしまい、不妊症になることがあります。また妊娠しても卵を子宮に送り出す力が弱くなりそのまま妊娠してしまい子宮外妊娠になること
があります。(子宮外妊娠の6割がクラミジアによるものであることが、数年 前あきらかになりました)子宮に妊娠しても流産しかけたり、早産しかけたり
することもあります。さらに妊婦が未治療な場合、生まれた児の眼が結膜炎に なったり、肺炎になったりすることがあります。
ちなみに男の場合は尿道、前立せん、副こう丸まででクラミジアがお腹の中まで入ることはありません。しかし、治すことに関しては同じで2週間ほど抗生物質をのみますと治癒してしまいます。性行為感染症なので男女両方を治さなければなりません。
クラミジアは検査(診断)が大事です以下に要点を記します。
1)抗原検査 は子宮頚管から綿棒で採取します。感度は鋭いのですが、お腹の中のクラミジ アはわかりません。
2)抗体検査は血液にクラミジアに対する抗体があるかを調べます。お腹をみるにはよいのですが他のクラミジア属の病気(鳥のオウム
病など)により陽性にでることがあります。両方の検査をしてやっとクラミジアの診断がつくことがしばしばあります。