平成11年1月のおまけ

AIR DO 生き残り戦略

 航空会社も過当競争の時代を迎えました。大手3社もAIR DOの料金を意識して羽田ー札幌線にかなりの値下げを考えているようです。もし、料金が同じなら、ほとんどの人が当然羽田空港のサテライトを利用できる大手会社を選ぶであろうことは想像に難くありません。事実、私だって小児運賃も割引になるのであれば、当然便利な方を選びます。AIR DOもコンビニやインターネットでの予約システムなど新たな戦略での対抗を考えているようですが、やはり生き残るためには強い「個性」を打ち出さなくてはいけないでしょう。そう、料金が横並びなら、ぜひこっちの飛行機に乗りたい、と人に思わせるような個性です。
 そうしてみると現在のAIR DO機のデザインである黄色と空色のストライプ、これはいけません。無個性な上に妙にスカしている感じがします。道産子らしくない。それから「試される大地、北海道」というキャッチフレーズが機体に書かれている。これも良くない。大体「試される大地、北海道」てさっぱりピンとこないでしょう。道内でも結構非難の声が上がっていました。意味不明だとか、なぜ北海道が試されなければならないの?とか。

 そういう訳で、ここはひとつ、私がAIR DOを思う存分、やりたい放題、どーせやるならここまで、プロデュースしてみましょう。AIR DOの関係者の方、これは冗談ですから怒らないでくださいね。私1回、おたくの飛行機に乗りましたからね。お客様ですからね。(脅迫)
 まずは北海道をどの面からアピールするか、その方向をきちんと決めましょう。大自然、農業、ウインタースポーツ、温泉、リゾート観光地、テーマパーク。北海道には素晴しいものがいっぱいあります。その中でもやはりインパクトが最も強いのは「美味しいもの」でしょう。食欲は人間の最大の欲求です。さらに北海道の食材はすばらしい。そのあたりをテーマにした個性作りを考えてみましょう。
 さてそこで機体デザインですが、以前全日空がやった「マリンジャンボ」(飛行機全体を鯨に見立ててペイントしてあった)を参考に、こちらは「シャケ」でいってみましょう。アイヌ文化では「神の魚(カムイチップ)」とされているシャケ、大空を飛ぶ飛行機にぴったりのキャラクターではありませんか。飛行機全体をシャケとしてペイントする。ただのシャケではありません。食欲をそそるために、塩して干したシャケにします。荒巻です。いいですねえ、道産子航空会社らしいです。これぞ個性。強烈です。しかもこのデザインをあのクリスチャン・ラッセン氏にお願いする。彼はクジラとイルカと熱帯の魚ばかり描いていますが、この際寒流の魚であるシャケ、しかも加工済み(もはや食品)に挑戦していただいて新境地を開拓していただく、と。これで話題性は充分すぎるほどあるわけです。
 そして機体にキャッチフレーズをもし、どうしても入れたいのであれば、ここはもう
「カニ、ウニ、イクラ」
しかないでしょうね。テンポもいいし、なにより分かりやすい。北海道に行きたいなあ、と人に思わせる強大な力があります。これに合わせて、ラッセン氏が主翼にこの3つのイラストを入れてくれました。さあこれで外観は文句なしの「むしゃぶりつきたくなるような」素晴しい飛行機になりましたね。
 さて機内。色は当然サーモンオレンジで統一。フレグランスは魚港の香り。スタッフは全員屈強な男性(マッチョとはちと違うんだな)で制服はねじりはちまきにゴム長の漁師ルック。アニキテイストがムンムン。しかし社員教育が行き届いているので見た目と裏腹に接客態度は大変よろしい、と。このアンバランスがえも言われぬ魅力を醸し出すのです。ほら「童顔に似つかわしくない巨乳」なんてのがウケるじゃないですか。ああいうセンです。「物腰の柔らかい、上品な漁師」たまんないっすね。
 あとは搭乗券にも凝ってみましょう。全部で100種類作る。イラストはもちろん彼。藤谷美和子とおつきあいしているらしいから、彼は日本人を邪険にできない。いやいやでも描いてくれるはずです。幻想的なタッチの、ウニ、カニ、ニシン、ホタテ、ホッキ、ワカサギ、ホッケ、コンブなどなど。同伴幼児の搭乗券はイクラやスジコなどの魚卵にするとカワイイかも。コレクターが現われること必至です。搭乗券欲しさにAIR DOは連日満席、というのも夢ではないでしょう。コレクションを盛り上げるためにレアものも設定する。めったにゲット出来ない「ミズダコのクチバシ搭乗券」とかね。
さあこれでこの大不況下にもかかわらずAIR DOはウハウハの急成長、ついにもう1機、飛行機を導入。変なペイントしたもんでボーイング社は怒っちゃってるから今度はエアバスにしましょう。次は当然「ホルスタイン柄」、キャッチフレーズは「ミルク、チーズ、バター」・・・・・・(誰か止めて)

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