車で北海道を旅する道外在住の方に

 北海道は、地図で見るよりもはるかに広大です。

 北海道の区分地図を見て、あなたの住んでいる地域の地図と同じ縮尺で考えると大変なことになりますので、まず、100円ショップ等で日本全図を購入して、あなたが思い描いた北海道上での移動距離をあなたの地域にスライドしてみて下さい。

 観光しながらの移動では、とても計画どおりの距離をこなせないことが分かると思います。

 また、北海道では高速道路があまり普及しておらず、一般道を長時間かけて長距離移動しますし、路側帯が広く民家と道路との距離が十分に隔てられていることから、流れがかなりハイペースです。

 状況にもよりますが、何もない郊外の一本道なら80〜90km/h位で流れています。

 事故を起こしたくないとか、警察に捕まりたくないとか思ったら、後続車に道をゆずりましょう。

 私は、どんな種類の車に乗っても、走っているうちに自然と流れをリードしてしまうような不良ドライバーですが、こんな私でも状況や体調によっては、どんどん後続車に道をゆずります。

           R333端野町                   道道1070上武利丸瀬布線    

 

 それでは...私からの北海道をドライブする上でのお願いです。

1.北海道には、随所に”登坂車線”や”ゆずりあい車線”が存在しますが、その際の”遅い車”の基準はあくまで相対速度です。

 「自分は制限速度を守っているから本線を走る」とか、「制限速度+アルファの良識的速度で走っているからゆずる必要はない」とか、「左側車線はバスやトラックのためのものだ」という考えは大間違いです。

 相対的に遅い車が本線を走ることによって、後続車が”右へ左へまた右へ”と車線変更を強いられたり、加速直後に急減速させられたりして、このことが事故発生の一端となっています。

 自分が相対的に遅いと感じたなら、素直な気持ちで左側車線へ入りましょう。

 もうひとつ、”登坂車線”や”ゆずりあい車線”だけ目いっぱいがんばって、終わった直後に減速しないで下さい。

 後続車が車線終了地点付近でダンゴ状態になり大変危険です。

 

2.あなたには観光道路でも、北海道民にとっては生活道路です。

 ところが、何もないのに突然ブレーキを踏むレンタカーや道外ナンバー車が多く迷惑しています。

 雄大な景色に惹かれて、もっとよく見たい!とかキタキツネが路肩にいて、もっとよく見たいと思ったら、まず、左ウィンカーを出してからブレーキを踏み路側帯に入り、後続車に道をゆずりましょう。

 

3.追い越し禁止区間で後続車におあられたら、見通しの効く充分長い直線で対向車が来ていないことを確認して、左ウィンカーを出し少し路肩に寄って、道をゆずりましょう。

 

4.流れの先頭は捕まりやすいですし、不案内な地方では取締りのポイントもよく判らないでしょうから、先頭は一般の道内ナンバーに任せて、自分は二番手以降に就きましょう。

 

降雪中は視界が悪い      凍結しているので、タイヤは右へ左へ流される

 冬道を走る準備

1.車は必ず普通車の四輪駆動車を用意しましょう。

 四輪駆動車では余程のことがない限りチェーンは必要ありませんし、”チェーン規制”なる訳の分からない規制は北海道にはありません。

 なお、軽自動車は、わだちの幅に合わないので運転に苦労すること請け合いです。

 

2.フェリーで来道する場合、あらかじめ、スタッドレスタイヤを履き、スノーブレード(冬ワイパー)を装備し、ウォッシャー液は-30度対応の原液100%、ラジエターのLLCは-40度対応に調整して来て下さい。(LLC濃度を上げても夏季にオーバーヒートし易くなることはありません。)

 オールシーズンタイヤは積雪路面ではそこそこ効きますが、凍結路面では非常に危険ですので、絶対に止めましょう。

 夏用タイヤにチェーン装着も非常に危険です。

 また、ディーゼル車は燃料を1/4以下にして来て、上陸後すぐに北海道の軽油を満タンにして下さい。

 

3.雪国仕様を含む非寒冷地仕様車は、北海道仕様車に比べオルタネーター・バッテリーが貧弱ですので、ブースターケーブルは必ず用意しましょう。

 前日、元気よく走っていたとしても、翌朝-15度より気温が下がると始動できないことがよくあります。

 

4.何らかの原因で立ち往生した時に備えて、軍手、懐中電灯、牽引ロープ、スコップは必需品です。

 

 冬道を走るポイントです。

1.状況にもよりますが、一般的には、四輪駆動車では、わだち外を走行したほうが安全で走り易いです。

 わだち内は鏡面のように磨かれており、進路変更の際の脱出に慣れが必要ですし、四輪が駆動する車では前タイヤを軸に突然スピンすることもあります。

 

2.どれくらい滑るか分からなくて怖いという話をよく聞きますが、周りに迷惑がかからない状況で実験してみることをお勧めします。

 激しいアクセルオン/オフとハンドル操作、強いブレーキという、絶対避けねばならない”急”の付く操作をわざとやってみて、”これくらいならこうなる”ということを体で覚えるのです。

 

3.各種パンフには”グリップ走行を心がける”ように書いてありますが、雪や氷の上を滑らずに走行するのは不可能です。

 むしろ、ある程度”滑ることが当然”と考えると気持ちが楽になります。

 ”北海道では普通のおばちゃんがドリフト走行している”というのは本当です。

 

4.氷上では、アンチロックブレーキが効くと制動距離がはるかに延びてしまいますので、もし滑って止まらないと思ったら、バタバタバタバタとすばやくポンピングブレーキをしましょう。

 これも、周囲に迷惑のかからない場所で、初速20〜40km/hで練習して体で覚えると良いでしょう。

 嘘だと思ったら、安全な所で試してみてください。びっくりするほど、制動距離に”差”がでますよ!

 

5.凍結した郊外のカーブを曲がるとき”怖いなぁ”と思ったら、片輪で路側の比較的柔らかい雪を踏みながら曲がりましょう。

 片輪だけでもグリップすると安定感が全然違いますよ!

 

6.深雪や地吹雪で路面が見えなくなったら、道路両路肩に立っている除雪標識を目安に走って下さい。

 また、日中でも夜間でもこのような状況で路上で立ち往生するのは追突事故を招き大変危険ですので、パーキングエリア等の安全な場所で待機しましょう。

 

7.事故や吹雪のため、通行止めになり立ち往生したり、数十kmも迂回せざるを得なくなることがありますので、郊外を走る前に必ず”満タン”を心がけて下さい。

 もし、吹雪で立ち往生したら絶対眠らないで、必ず、乗降ドア〜マフラー付近の雪かきを定期的にしましょう。

 

8.北海道の車は、路面状況に応じて極端に走るペースを変えます。

 それこそ、凍結してアクセルをオン/オフするだけでも横滑りするような時は歩くような速さで、また、圧雪でも滑らないとみると70〜80km/hで走り追い越しもします。

 しかし、自分のコントロールできる範囲を超えたオーバースピードは事故に直結しますので、いつも自分のペースを守り、速い後続車には道をゆずりながら走ることを心がけましょう。

 

 このページは、決して、交通違反推奨とか交通事故助長のページではありません。

 あくまで、北海道をスムーズにドライブするための指南書きです。

 よく、原理原則に凝り固まって実態に目をそむけたページや意見がありますが、それらに対するアンチテーゼと考えております。

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